電子工作

【オーディオ】自作アンプ作ってみた ~後編~

はじめに

以前からだいぶ時間が経ってしまいましたが、下記事の続編まとめです。

前回記事で見つかった多くの修正点を元に、より組み立て易いように基板を改版したので、仕様や組み立て方のまとめ解説になっています。

現在では、自作したDACと合わせて音量調節器として使用しています。ついでなので自作したDACの記事も見ていってね()

本記事は、NT富山2021のイベントにて、アンプ基板を電子工作に興味がありそうな人や、お世話になった人に名刺代わりに差し上げたので、組み立て説明書も兼ねています()

キット販売のご案内

下記リンクのBOOTHにて販売中です。興味がある方は是非お買い求めください!

https://mechatroman.booth.pm/items/3563806

仕様

本自作アンプは、基板の設計範囲内ではありますが、作る人の自由度が高くなるように作られています。OPアンプの基本原理を学ぶための教育目的で開発された側面もあるので、部品は点数を少なく、安価(1000円以内)かつ入手が容易となるように選定して設計しました。

入出力端子

入出力共に、RCAジャックと3.5mmイヤホンジャックを使用できます。

オーディオ機器によくあるジャックに対応しているので、「RCA」 to 「3.5mm」 の変換器としても使えます(これが案外便利だったりする)

入力電源電圧

電源電圧は使用するオペアンプに依存します。とはいえ、多くのオペアンプの動作電源電圧は±4.5Vあれば十分であることが多いので、9V乾電池1つを電源として接続するのが楽だと思います。

例えば、NJM4580を使用する場合、動作電源電圧は±2~±18Vですので、レールスプリッタにより中間電圧を生成していることを加味すると、単純に2倍して入力電源電圧の範囲は4~36Vとなります。

しかし、後述の回路図を見てもらうと分かる通り、C1,C2の耐圧(最低16V)がありますので、ディレーティングも含めて、実際の入力電圧範囲は9~24Vを推奨ています。

部品表

【部品購入用】必要部品の品番と数量

必要部品の数量と備考と秋月電子の通販コードをまとめた表です。秋月電子通販コードを使えば、一括でアンプに必要な部品を得られます。

品番数量備考 秋月電子通販コード
本アンプ基板1BOOTHにて販売予定!
S2B-XH-A1XHコネクタ(メス)C-12262
バッテリースナップ1XHコネクタ付き(マジ便利)P-12245
NJM458012回路入りオペアンプならOKI-00069
ICソケット1OPアンプを付け替えたい人向けP-00035
MJ-843523.5mmジャックC-09060
RJ-2410N/R2RCA赤C-02385
RJ-2410N/W2RCA白C-02386
RK0972A503L15F12連式ボリューム(Aカーブ50k)P-12574
ボリュームツマミ1好きなヤツでもOKP-16279
抵抗 2k6本金属皮膜抵抗R-16634 (100本入)
抵抗 10k2本金属皮膜抵抗R-16646 (100本入)
コンデンサ 470uF2耐圧16V以上、リード幅5mmP-08292
コンデンサ 4.7uF2オーディオ用 無極性電解コンP-04637
2SC18152トランジスタI-13491
2SA10152トランジスタI-06734
スペーサー必要なら使用P-01861

追記1:コンデンサ

470uFの方は、一般的な電解コンデンサでも問題ありませんが、基板の設計上、耐圧が16V以上、缶の直径が10mm以下、リード幅が5mmのものを使用してください。

4.7uFの方は、カップリングコンデンサです。音質に直接影響するので、オーディオグレードのものを使用することを推奨します。

追記2:抵抗器

左右の音量バランスに影響するので、できるだけ誤差が少ないほうが良いです。

また、上記の表における抵抗器の通販コードは100本入のものとなっています。ご注意ください。

そんなに抵抗要らないよ!!という方は、マルツで購入していただければと思います。(バラ売りしていたはずです)

【基板実装用】部品番号と定数の対応表

部品番号と実装する部品の対応表です。

部品番号定数
BT1XHコネクタ
RV12連式ボリューム
J1、J4MJ-8435(3.5mmジャック)
J2、J5RJ-2410N/R(RCA赤)
J3、J6RJ-2410N/W(RCA白)
R1,R2,R3,R4,R5,R62k
R7,R810k
C1,C2470uF
C3,C44.7uF
Q1,Q32SC1815
Q2,Q42SA1015

回路図

回路図の全体です。

電源部(レールスプリッタ回路)

中間電圧を生成するためのレールスプリッタ回路です。

入手が容易な2SC1815、2SA1015のトランジスタで構成しました。

増幅部(非反転増幅回路)

電子回路の教科書には必ず載っている非反転増幅回路そのものです。ゲインは6倍の設計になっています。

ユニティゲイン安定でないOPアンプを使用する場合、発振防止の為にゲインは4倍以上(製品によって色々あるので要確認)必要となります。使用するOPアンプの仕様に合わせて抵抗の値(R7、R5とR8、R6)を変更してください。

ハイパスフィルタを構成しており、カットオフ周波数17Hzとなる設計になっています。

組み立て上の注意

一般的なキットと同様に、気軽に組み立ててもらえばと思います。

はんだごて等の工具を使用する際は、安全に注意して作業をしてください。

コンデンサ(特にC1,C2)の実装する極性を間違えないように注意してください。

使えるオペアンプ

基本的に下図のアサインであれば使用可能です。大体の2回路入りオペアンプがこのアサインなので、色々試して自分の好きな音を探してみるのも醍醐味です。

例1:NJM4580D

新日本無線製。30円と安価なクセに普通にオーディオとして聴ける音が出るコスパ最強の定番オペアンプ。

例2:OP275

アナログ・デバイセズ社が開発したOPアンプ。私はこれを普段使いしています。バランスが良いモニター向けな音が出ます。人によっては硬いと言う人もいます。これ以上は感想になっちゃうのでやめときます。

おまけ:LM358N

完全に蛇足です。LM358はオーディオ用ではなく、汎用オペアンプです。酷い音が鳴りますが再生はできます。ちょっと楽しいです。