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残響時間の定義は?残響のメリット・デメリットを解説

残響時間とは

残響時間は室内に放射した定常音が、平衡状態に達した後に音を停止させたとき、その後の室内の音響エネルギ密度が音源停止直前のエネルギ密度に対して-60dBまで減衰するまでの時間のことです。

残響時間に影響する要因

残響時間を計測する部屋の空間体積や壁の材質、人や物(吸音物)の配置が残響時間に影響を及ぼす主な要因となります。

また、S/N比も計測上の残響時間に影響を及ぼす原因となります。

残響のメリット・デメリット

残響のメリット

残響があることにより、会議室などで人が話す声が広がりやすく、話を聞き取りやすくなります。また、コンサートホール等では、演奏が適切に残響することで、音の広がりが音楽を豊かに感じさせるエフェクトとして機能します。

残響のデメリット

残響時間が長いことでフラッターエコーが発生した場合、スピーカーから出る音や話し声といった音源が広がりにくくなり、音が混じり合ってうるさく感じられます。

残響の測定方法

測定方法

スピーカーよりホワイトノイズ(定常ノイズ、断続音とも)を放射し、音源停止後の音圧減衰を測定します。これを数回繰り返し、その平均から残響時間を計測します。

残響時間は周波数ごとに音源を停止した後の残響減衰曲線を最小二乗法による直線回帰から読み取ることで得ることが出来ます。

残響の測定に使用するマイク

残響時間の測定に使用するマイクは、ダイヤフラム(振動膜)直径が13mm以下の全指向性コンデンサマイクを使用します。これは、一般的なマグネチックマイクでは、周波数特性が平坦では無い為、計測の精度が低下するからです。

具体例として、このようなマイクを使用します。https://amzn.to/3a8GyPa

残響の測定に使用するスピーカ

残響の測定に使用するスピーカは、全指向性に近い12面体スピーカを使用します。これは、残響を測定する室内に均等に音波を放射する必要があるからです。もし指向性があるスピーカを使用した場合、実験結果が偏ってしまいます。

測定を行う空間全体に均一に音を発射する必要があります。

OmniPower sound source Type 4292-L

https://www.bksv.com/en/transducers/acoustic/sound-sources/omni-power-light-4292

参考文献

日本音響学 会誌68巻8号(2012),pp.403−408